ストレスはあえて受け入れたほうがよい、ということを中心に話を進めてきましたが、逆に、プレッシャーのかかること、不安なことを避けているとどういうことになるのでしょうか?

人ごみの中にいると心臓がドキドキしてきて、呼吸困難などがおきる『パニック障害』という病気があります。ある女性がこの病になってしまいました。ところが、お子さんが電車で小学校に通うことになり、毎日それに付き添っていかなければなりません。

この女性は以前にも電車で症状が出て、それ以来なるべく自転車を使うようにし、電車はさけていました。しかし、これがよくなかったのです。

何か強い不安を感じたり、PTSDになっているときは、一時的にそこからみを引くの正しい行動です。しかし、不安というものは15分ほどたてばだいぶ落ち着いてきます。1時間半もあれば、ほとんどゼロになってしまいます。

しかし、女性は症状が出たところで電車を降りてしまっていたのです。そのときは救われた気分になるかもしれませんが、これで脳が『電車はダメだ!』と間違った学習をしてしまったのです。

パニック障害が常に出るとは限りません。少し勇気を出してそのまま乗り続けていれば、大丈夫だった可能性もあるのです。不安なものを避け続けていると、恐怖は倍増してしまうのです。きびしいようですが、少しづつでも立ち向かっていかないと、いつまでも克服することはできません。この女性は後にお医者さんの指導のとおりに少しづつならしていって、克服することができました。

電車くらいであればまだいいですが、つらいことを避け続けていると、思わぬチャンスを逃してしまうことも考えられます。また、無力感がどんどん膨らんで、行動することができなくなります。

何か重大な役割を任されたとき、それを辞退したり、放棄したりしたら非常に大きな代償を払うことになりかねません。または、目の前にある問題を見て見ぬ不利をするためにアルコールやパチンコで気を紛らわせたりしていませんか?

ストレスを避けつづけると、こんなにストレスを感じるのは自分に能力がないからだという思い込みを強めてしまいます。『ストレスは害になる』と思い込んでいると、ストレスに打ちのめされて無力感が襲ってきます。結果、うつ病を発症したり寿命がちぢんだりしてしまうのです。

『ストレスは役に立つ』『ストレスには意義がある』と思っていた人は、ストレスフルな状況にあっても健康な状態を保っていたということを思い出してみてください。

『ストレスが体に悪い』というのは世間からあなたに刷り込まれた、一般的な価値観です。ストレスのかかる状況が大きなチャンスに繋がると認識を書き換えれば、ストレスに対して大きな不安を抱えずにすみます。

すべてのストレスが良いものだとはいえませんが、だからといって避けてばかりいると、毎日が無味乾燥なつまらないものになってしまいます。ストレスが、生きがいと密接につながっていることを忘れないようにしましょう。