隣の芝生が青く見えるときの対処方

ストレスがたまって気分が落ち込んでいると、周りにいる人がみんな幸せそうに見えることがあります。『なんでわたしだけが、こんなつらい目にあわなきゃいけないの!?』といった感情は誰でも持ったことがあると思います。

特に最近はブログやフェイスブックなどのSNSが発達し、誰もが情報発信できるようになりました。落ち込んでいるときに、誰かの幸せそうな写真を見ていると、よけいに気分が沈んだり、怒りすらこみ上げてくることもあります。なぜでしょうか?

こんな気分になったら、芝生はどうやったら青くきれいな状態を保てるのか考えてみましょう。芝生は当然ながら生きています。ほっておけば伸び放題になるので、定期的に刈ってやらなくてはいけません。

また、芝生以外の雑草だってはえてきますから、これだって時々抜いてやらないと見苦しい庭になってしまいます。そう、きれいな芝生は『日ごろの手入れの賜物』なのです。きれいに庭に敷き詰められた芝生には、それなりの時間と手間隙がかかっているのです。

これは人でも同じことが言えます。最初から何の勉強もせずに、弁護士やお医者さんなどの高給とりといわれる職業につくことはできません。時間をかけて、こつこつ勉強してきたことがその収入につながっているのです。

隣の芝生が青く見えるときは、挫折や失敗を経験して、孤独感にさいなまれていることが多いものです。挫折や失敗は、心理学で『コモン・ヒューマニティ』といいます。訳すと、『人間なら誰でも体験するもの』という意味です。

ひどい孤独感にさいなまれているときは、この言葉を思い出しましょう。人間、失敗を経験しないで生きることはできません。例えば、映画やテレビに引っ張りだこの女優さんや、海外で活躍しているアスリートでも、過去には監督に演技力不足をけなされたり、レギュラーをはずされて泣いたりしたという告白をして、びっくりさせられることがあります。

内面の苦悩を好んで表情や態度に表す人はいません。自分が苦しんでいる姿を人に見せまいとするのはいたって自然なことです。

これはキリスト教のある牧師がこんな内容の説教をしています。
「人生は甘くない。人の苦悩はどんな苦しみや悩みを背負っているかは、誰にもわかりません。誰もが人には言えない悩みがあり、自分と戦い、がんばっている」

まさにこれは、いまをいきる人たちすべてにあてはまる言葉ではないでしょうか?苦しんでいるのは自分ひとりではないのです。落ち込んでいるときは、どうしても自分だけ、自分だけ何で?と思ってしまいがちです。

そういえば、華やかなイメージのある俳優やタレントが、テレビや自叙伝で、家族や人間関係で深い傷を負っていたり、重病とたたかっていたりしたことを告白して驚かされることがよくあります。悩みや困難な状況に無縁でいられる人はいないのです。落ち込むことがあったら、誰にでも、失敗や挫折はあることを思い出しましょう。